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暗闇で恋しましょう

第19章 説教

そんな相手と目がばっちりあっちゃったら、そりゃあ動揺するか。


でも、是非今の一瞬だけでもその引け目を払って欲しかった。


だって、振り向いて欲しくない後頭部を動かすには、その行動は事足りすぎてるから。


ゆっくり後ろを向き始める頭に、心の中で南無三を唱える。



「…………あぁ、杏ちゃん起きたの。おはよう」

「おはよう、ございます……」



あああ……笑ってるのに、笑ってらっしゃらないぃい……


怖い。怖すぎる。



「体調はどう?いい?」

「すこぶる宜しゅう御座います」

「あはは。何その喋り方」



そんな笑顔と気を当てられたら誰だって、敬語になる。


正座もしちゃうってものだ。



「ちょっと待っててね。こいつ、ちょっと締めるから」



“ちょっと”の光景じゃないのですがそれは……

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