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暗闇で恋しましょう

第21章 話をしようか

目だけを玄関に移動し、入ってきた人に声を掛ける。



「いらっしゃーい………水上さーん………」

「………やる気が微塵も感じられないんだけど」



呆れたように息を吐く水上さん。


そりゃ出るわけもないですよ、と私は思う。


水上さんもそれを察してくれたのか、それ以上は何も言わなかった。


戸を閉め鍵を掛け、部屋を見回し溜息1つ。



「飛翠は?」

「見ての通りでございまーす」



水上さんの言いつけを守る様子も見せないひぃちゃん。


水上さんの据わった目が物語るのは、ひぃちゃんの先の末路だろうか。


南無三と心の中で唱えるけど、水上さんの口から出てきたのは意外な言葉。



「やっぱりか」



………やっぱり、ね



2人だけが知っていそうな事にまた1つ、溜息が漏れた。

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