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暗闇で恋しましょう

第23章 救われたんだ①

それが当たり前の世界で生きていたから、耐えられてたんだろう。


違うと分かれば、人間正しい方に行きたくなるもので。


ちょうどタイミング良くあったテストで、満点をとった男は両親に報告したのだ。



「お父さん、お母さん。見て。僕、満点取ったよ」



それはもう次の言葉を期待して、答案を思い切り広げて見せた。


すごい と、偉かった とたった1言、それだけで良かったんだ。


だけど、現実は残酷で。



“そうか…………×××”

「はい。お父さ」



ぱんっ



“みっともない。そんな当たり前のことを見せびらかすな”



返ってきたのは頬の痛みと、そんな冷徹な言葉。


母親に至っては、言葉さえ出さず呆れたように息を吐いただけだった。

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