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暗闇で恋しましょう

第23章 救われたんだ①

それが違和感に変わったのは、いつ頃だったか。


あれは恐らく、男が小学も4年に上がる頃。


同級生が口々に言う言葉が、嫌に耳につき始めたんだ。



“僕、この前のテストで80点以上取ったんだ!お母さんに見せたらすっごい褒めてくれてさ”



…………?



“俺なんてこの前、体育の競走で1位取ったからって、夕食ハンバーグだったんだぜ”



………?????



“あ!×××くんはいつも満点だから、僕なんか比じゃないくらい褒められてるんでしょ?いいなぁ”

“そういえば、また優勝したんだって?×××はすげぇなぁ。夕食、豪勢だったんじゃねぇの?”



「………………う、ん。そ、だよ」



曖昧な笑顔の裏側、締め付けられる胸。


満点のテストも、何かの大会の優勝も、男は1度だって褒められた事がなかった。

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