
暗闇で恋しましょう
第25章 救われたんだ③
自分の家柄に、教育に、その何もかもに不満を持った男は、分かり易くグレた。
出来ていた勉強も、習っていたことも全て疎かにするのはもちろんのこと。
ぱんっ
“一体なんだって言うのよ?!今まではちゃんとしてきたじゃない!!”
相変わらず、暴力で訴える両親には軽蔑の眼差しを向けた。
“っ………なに、よ……その目………”
両親はたったそれだけの行為で、狼狽えを見せた。
反抗の言葉も汚い言葉もいらない。
反抗などしたことがない、男だったから成し得たのだろう
煙草、酒、夜更かし、喧嘩………
男は考え得る“不良”行為をとことんしてみせた。
両親は失望し、周りに集まるはクズばかり。
褒められる日々から一転。
男の日常には、怒声や失望の声が溢れるようになった。
