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暗闇で恋しましょう

第25章 救われたんだ③

制服はネクタイすらしないという着崩しっぷりのせいで、先輩か後輩かさえも分からない。


男が1年のため、後輩ではないのだろうが。


この男の素性がどうあれ、どうにもこうにも嫌そうなのは伝わる。


多分退いた方がいいんだろう。


分かりはするが、怪我が酷すぎてできそうにない。


どうしたものか、と悩んでいると、男に影が落とされた。


顔を上げれば、嫌そうな男と目が合う。



「………んだよ」



意味もなく凄んでみせるが、男の表情に変化はなく。


それどころか、息を1つ落とし、少し離れたところに腰を下ろした。


そして、腕を組み、目を閉じ………



………おい、まさか……



“………………すぅ、すぅ”



寝息を立てられれば誰でも分かる。

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