テキストサイズ

暗闇で恋しましょう

第30章 俺とあいつとそしてーー……③




「………きっと今日、あの子は貴方に伝えるつもりだったんでしょうね」

「…………」

「貴方の子を自分に宿していることを」

「……………………………え………?」



突然の話題に意識が覚醒する。



今………なんて………

俺の、子………?



「………ずっとお父さんに、反対されててね。それでも産むんだって言って、聞かなくて」



俺の、子供。


守のお腹に、俺の子供………?


じゃあ…………じゃあ………



「ぁ…………ぁあ………あぁあ」

「っ………飛翠くん。飛翠くん。貴方のせいじゃないわ。貴方のせいじゃーーっ……」



守の母親は俺を抱きしめながら、泣いていた。


それでも、その口からは決して俺を責める言葉は出てこなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ