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暗闇で恋しましょう

第30章 俺とあいつとそしてーー……③

ずっと、俺と守の交際を認めてくれず、俺と会ってもくれなかった人。


まさかこんな形で、お初にお目にかかるとは。


その後も、罵声という罵声を守の父親は俺に浴びせた。


そのどれも、俺の耳には入ってはこなかったけれど。


そんな放心さながらな俺を見て、守の母親は目も当てられなかったのだろう。


その場から一緒に出てくれて、温かいココアまで恵んでくれた。



「………飛翠くん。貴方のせいじゃないわ。絶対に。貴方のせいじゃない」

「……………」



自分の方が辛かろうに、守の母親は俺の肩を抱きずっとさすってくれた。


申し訳ないと思うけれど、その言葉を出す気力もその時の俺にはもうなくて。

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