暗闇で恋しましょう
第31章 俺とあいつとそしてーー……④
帰る頃には目は酷い有様で。
これ以上にならないようにしっかり冷やしてね、なんて、気遣いまでもらってしまうほど。
その際、ふと思い出したように守の母親が言葉を紡いだ。
「そういえば、なんで守、そんなに観覧車乗りたかったのかしらね?」
祥人が言っていた“聞きたいこと”とは、これのことだろうか。
言いはしないが、彼女の目は俺に答えを求めてるようで。
もちろん知らない俺は首を振る。
「そっか。まあ、そんな然程気にすることでもないのかもしれないわね。そうだ。これ持って行って。作りすぎちゃって。良かったら、いつも電話出てくれる彼と一緒に」
にこりと笑う彼女に今度はしっかり頭を下げ、俺はその場を離れた。
“なんで守、そんなに観覧車乗りたかったのかしらね”
その言葉に俺もまた疑問を持ちながら。