暗闇で恋しましょう
第31章 俺とあいつとそしてーー……④
祥人にはもちろん、その日の俺の様子を一から十まで聞かれた。
それに、ぽつりぽつりと短くも返事をしていく俺を、祥人は酷く驚いた様子で見ていたんだっけ。
今まで何をしても無反応だった男が、いきなり口から音を発したんだ。
それはそれは奇妙な光景だったんだと思う。
当然、一通り聞き終わった祥人の口からは
「なんか、あったのか?」
そんな質問が零れた。
なんか、は、あった。
守の母親の言葉で心は温まったし、思い切り泣いたことで心の重荷が少しおりた。
よっての俺の変化なのも自分のことだから、十分に分かってた。
でも、それを全て祥人に話すのは恥ずかしさとか諸々あって。
結局、“別に”とか言ってはぐらかしたんだっけか。