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暗闇で恋しましょう

第32章 遊園地

少しでも、ひぃちゃんの気持ちが軽くなりますように、と想いを込めて。



「…………絶叫で酔って、ダウンする奴が側にいても頼りねぇなぁ」

「…………人混みで酔うひぃちゃんに言われたくない」

「手、いてぇしよ」

「私の想いの強さです」

「分かったから、普通に握ってくれませんかね。こんなとこでこんなことしてたら、目立つぞ」



ひぃちゃんの言葉は一理ある。


やっぱりまだ震えているけど、仕方ない。


両手を外し、片手でひぃちゃんの手を掴む。



「………ありがとな。少し、楽になった」



ぽつりと呟き、私の手を握り返すひぃちゃん。


それだけの言葉で、私がどれだけ嬉しくなるのかきっとひぃちゃんは知らないんだろう。

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