テキストサイズ

暗闇で恋しましょう

第32章 遊園地

乗るんだろうなって、思ってはいた、けど、見えるひぃちゃんの手。


僅かに震えているのが分かる。



「格好、悪いよな」



ぽつりと呟き、眉間に皺を寄せ、笑うひぃちゃん。


そんな風に笑うくらいなら、笑わない方がマシなのに。


ひぃちゃんの眉間に指を置き、ぐりぐりーっとほぐしてあげる。



「格好いいひぃちゃんの方が珍しいくらいだから、心配しなくていいよ」

「………お前、言うようになったな」

「だって?手を繋いでないと?ひぃちゃん泣いちゃうらしいので?」

「そこまでは言ってないだろ……」



倒していた体を起こし、私は、震えているひぃちゃんの手をきゅっと握った。


両手で包んで、力強く。



「……大丈夫。私は、ここにいるから」



こんな言葉、気休めにもならないかもしれないけど。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ