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暗闇で恋しましょう

第33章 だから、きっと、この涙は

きっと私は今、大粒の涙を流している。


それはもうさっきまでとは、比べ物にならないくらいの勢いで。


どうも人間ってのは自覚するとダメらしい。



「本当、どうしたんだよ…………」



ひぃちゃんが自分の袖口を使い、私の目元を拭ってくれる。



本当、どうしたんだろう………私……



思いとは裏腹。


私の口がポツリと言葉を呟いた。



「ひぃちゃんが、あまりにきれいに泣くから……」

「…………意味が分からないんだが」



私も意志とは関係なく出た言葉だから、よくは分からない。


けど、ひどく納得はしている様で。


泣いているけど、全く悲しくはないんだ。


どちらかといえば、晴れやかというか、すっきりしているというか。

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