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暗闇で恋しましょう

第35章 そして、これからも

水上さんの上げた顔はこちらに向かぬまま、口だけが動く。



「…………ごめん。辛いこと、させて………」

「………不思議だね。産んでくれて、約6年、育ててくれたはずなのに、あの2人といるよりこうやって水上さんといる方が落ち着く」

「………………杏ちゃん」

「なんて言うんだっけ。えーっと、生みの親より育ての親?だっけ?10年、だもんねぇ」

「杏ちゃん」

「あ、そうだ!水上さん、あのね、私、1つ気になってることがあったの。聞いていい?」

「杏ちゃ……っ……」



やっとこっちを向いてくれた水上さんは、ぎょっとしたような表情を見せた。


私が今、どんな表情をしているかなんて自分が1番分かってるんだ。



それでも、今は、どうか、どうか、くだらない話を


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