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でも、それも、私をちらりと見た拍子。


にこりと笑って見せれば、顔はふっと綻び、仕方ないなモードに早変わり。



ごめんね……お母さん………辛いこと、諭させて、嘘つかせて……

ごめんね……お父さん………貴方の優しさを利用して……



杏の好きなものは………杏の嫌いなものは……


私のことばかり聞こえる、背中に静かに頭を下げる。


出入口、水上さんの手前、立ち止まるお母さん。


ここから表情は確認出来ないけど、きっといい顔ではないんだろう。


それは、水上さんの深々としたお辞儀が、物語っていた。


そのお辞儀は暫く続き、水上さんが顔を上げたのは、きっと2人の姿が認識されなくなってから。