
暗闇で恋しましょう
第37章 幸せな話
波が迫っては引いて、ザザッと音を立て砂を持って行く。
前行くワンピースは波際を裸足で歩いて、鼻歌なんて歌ってる。
風に吹かれ、靡く髪を押さえる姿は、俺の知っている姿より、少しだけ大人びていて。
あれから4年の月日が経ったんだと実感する。
4年……4年、か……
「ひぃちゃん、変わんないね。全然。4年も経ったのに、イケメンなまま」
月日の流れを感じていると、前を向いていた杏がくるりと俺に顔を向ける。
幼少期〜16まで傍で見ていて薄々感じてはいたが………
杏はとても整った顔をしている。
大人になり、それはより一層分かるようになっていて。
確実に綺麗に、なった。
