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暗闇で恋しましょう

第37章 幸せな話

そんな“女性”に“イケメン”だなんて、柄にもなく照れてしまう。


ふいと顔を背け、出てきたのは、“どーも”なんて素っ気ない返事。



「クスクス……その冷たい返事、ひぃちゃんだなぁ」

「冷たくて、悪かったな……」

「責めてない責めてない」



伏し目がち。


“むしろ安心したぐらい”と続ける杏の言葉に違和感を覚え、思わず反応してしまう。



「“安心”?」

「………ひぃちゃんが優しかったリ、甘かったりするのは“合図”だから、さ」



じとっと見られ、そういえば、と自分の行動を省みる。


どうやらあの行動は、立派にトラウマを杏に植え付けたらしい。



「あれは……」

「あれはー?」

「っ………悪かった、とは思うけど………少しくらい、あの行動に“きゅん”?とか“どきっ”?とかなかったわけ」



返答はなく、見える杏の顔はどこか訝しげ。

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