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暗闇で恋しましょう

第37章 幸せな話

俺と杏2人の関係が、あの頃より進むためには、避けては、通れない。


嫌でも、これだけはちゃんと話さないと。



「………きょ」



ぱしゃん!



「…………おい?」

「クスクス……ひぃちゃんべたべたー」

「お前のせいだろ……」



正に不意打ち。


杏の手によって投げられた水を、俺はもろかぶってしまった。



「ぼーっとしてるからー」



くすくすと挑発の如し、手で口を覆い、にやりと口角を上げる杏。


いい度胸だ。



乗ってやろうじゃねぇか



跳ねた水で少し濡れた髪をぐいっとかきあげ、大人気なさ全開。


杏に向かって水を蹴る。


しかし、杏は身軽にそれを避けてみせ、一滴たりともその身に水を受けなかった。

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