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暗闇で恋しましょう

第37章 幸せな話

杏はブイとピースサインを俺に突き出し、笑って見せた。



「確かに“私達”を取り巻く環境は、普通に比べたら穏やかじゃないのかもしれない。それでも、それでも、ね?今、こうやって思えるなら幸せだって、そう、思うの」



俺の頬に手を添え、穏やかに優しく話し続ける杏。



あぁ、本当に……

なんで、いつも、杏は…………



「そりゃ、ひぃちゃんが思ってるみたいに色々、考えていく必要はあると思うけど…………今は、今だけはって………これって、甘えかなぁ……」



少し残念そうに照れくさそうに杏は笑う。


杏のこういう言葉に、存在に俺は、一体何度救われてきただろう。


今だってその温かさに………涙が、出そうなくらいだ。

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