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暗闇で恋しましょう

第8章 お買い物1

これは、本気で言ってる証拠。


きゅっと気持ちを引き締めるけど、正直そこまで厳重にする理由は分からない。


だって、私が今いるこの土地は、私が住んでいた所よりずいぶん離れた場所にある。


親に会う事は愚か。


知り合いだって、いないだろう。


でも、ひぃちゃんが悲しんだり、ましてや捕まるなんてあってはいけないから、言うことは聞くけどね。


それとこの重い空気は関係ないので、ひぃちゃんの前に出て



「転びませんー」



と威張ってみせる。


どうだか、とひぃちゃんは呆れた様子。


それを見て、ぴんっと閃いた事柄。


ひぃちゃんは私を子供扱いしすぎだと思うけど、そんなに子供扱いしたいなら、と思う訳です。



「さっきの子、お母さんと手繋いでたよね?つまり!私も手を繋げば!」



意気揚々とひぃちゃんの手を掴もうとするが、そこには既にひぃちゃんの手は存在せず。


後ろを振り向けば、またも先行く背中。



私が迷子になったりいなくなったりして、困るのはひぃちゃんなのでは………?



その背に心の中で問いかける。


けれど、見える未来、怒られてるのは置いてかれた自分で。


それは嫌だから、私は背に向かって走り出した。

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