斉藤太一です
第13章 再会と約束
そんなしずくを見たのは
はじめてだった
子供は
素直に感情を
あらわす
いい時もあれば
そうでない時もある
大変だな・・・
僕は
しずくに
声をかけてあげたかったけど
「また来るから」とか
「またおいで」なんて
勝手には
言えなくて
いったい
僕は
かすみは
しずくは
これから先
どう関わっていくのか
わからなくて
言葉を失ってしまった
「おとーさん・・・」
しずくが
悲しそうに
僕を呼んだ
何か
何か言ってあげなくちゃ・・
「・・しずくちゃん・・
ごめんね・・
でも
今日はよく頑張ったね」
「・・え?」
しずくが
キョトンとした顔を見せた
「今日、しずくちゃんが
頑張ってくれたから
僕はかす・・あ、いや
ママに会えたんだよ
すごくすごく
うれしかったんだ
もっと
ここに居たいけど
ママに会えただけでも
十分なんだ
しずくちゃんの
おかげだよ
本当に
ありがとうね」