斉藤太一です
第19章 最終章・・・そんなのいらない
僕は
こんな歳になっても
かっこ悪くて
どうしようもない
息を切らしながら
駆け付けた
かすみは
僕が
何も言ってないのに
もう
泣いていて
そんな
かすみに
何か言ってあげたいのに
何も言えず
かすみは
しずくと
抱きしめあって
泣きながら
何度も何度も
あやまっていた。
そして
しずくも
泣いていた。
でも
2人は
すぐに
もっと
泣いている僕を見て
笑いだし
「しょーがないな~」
って
言いながら
しずくが
僕に
手を差し伸べた。
あの時と
同じだ
ふと
そう思った
かすみに
手を差し伸べた
あの日
こんな日が来るなんて
思ってもいなかった
「おとーさん
しっかりして?」
そう言われ
しずくの手をつかみ
僕は
やっと
立ち上がった
かすみに似て
しずくは
しっかりしている
だからこそ
よく見ていてあげないと
いけない
自分で
なんでも頑張って
なんでも
我慢してしまうから
「しずく・・」
「ん?」
「おとーさん
しっかりするから
だから
しずくは
あんまり
がんばるなよ?」
「・・・うん
ありがと・・・
おとーさん」