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斉藤太一です

第8章 大人になりたい

かすみ



僕はね

すごく後悔していることが
あるんだ




ふたつ。





ひとつはね




君と
同じベットで
眠ったときのことなんだ





あの日



勇気を出して

君の手を握ったけど





本当は


せめて







君を
抱きしめたかったんだよ







目を閉じて

唇を硬くして

涙を流した君を




優しく

抱きしめたかった








素顔になって




僕の「大丈夫」って
言葉を聞いて

穏やかな顔をしていた君を





強く




抱きしめたかった










でも

できなかったよ








君は






ぼくよりずっと若くて





君は




襲わないと言った
僕の言葉を信じて


僕の部屋に
来ていたんだから






襲ったりしないよ






でも










君を優しく

抱きしめたかった








君に







もう少し







触れたかったんだ






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