嘘
第11章 最後の夜
篤「一つ間違えば取材の話しがなくなっ
てたかもしれないんだ、今後は」
結衣「…」
篤「聞いてるのか?」
結衣「聞いてます…聞いてますよ…反省
してます、ごめんなさい、申し訳ありま
せんでした」
篤「深沢」
結衣「頼りない部下で申し訳ありません
でした、それじゃあ!!」
篤「深沢!!」
結衣「…」
結衣ではなく深沢
名前でなく名字で呼ばれる事に
悲しくて涙が出そうになり結衣は逃げる
ように
部屋を出ようとした
だけど…
結衣「…ぁ」
篤「急に立ち上がるからだ、もう少し寝
てろ」
結衣「…」
肩に触れ
横になるよう促す篤
篤はただ心配してくれているだけ
社員を
部下である自分を…
結衣「…もう…大丈夫です…」
篤「無理するな」
結衣「私に構わないで、もう…」
篤「…っ…結衣」
結衣「!!」
その瞬間
頭の中で何かが切れた
体が震え両目から大粒の涙がこぼれた
篤「…結衣」
結衣「…っ…うぅっ…」
篤「…」