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慶一郎「あの映画、良かったな」

結衣「…」

慶一郎「さくらさんが教えてくれた鍋屋
も美味しかったし」

結衣「…」

慶一郎「結衣？」

結衣「えっ、あっごめん、何」

慶一郎「…」

結衣「…」


無言のまま見つめ合う二人

ただそれは別れを惜しむ恋人同士
などではなく…


慶一郎「結衣、何か俺に隠し事してるだ
ろう」

結衣「慶ちゃん…」

慶一郎「…」

結衣「…」


高校からの付き合い
言葉を交わさなくてもわかる

お互いが今、何を考え何に悩んでいるか
言わなくても顔を見れば
わかってしまう


結衣「…慶ちゃん」

慶一郎「何」

結衣「もし…もし私が浮気したって言っ
たらどうする？」

慶一郎「結衣が、浮気…」

結衣「…」