テキストサイズ

いつか手をつないで歩こう

第8章 隠せない想い


仕事帰りにスーパーへ寄ったのだけど…。

「うっ」


ついつい買いすぎて、ずしりと重い袋を持つことになった。
しかもアパートまでの帰り道は、真っ暗でちょっと怖い…。

そのとき。


「きゃっ!」

持っていた二つの買い物袋が、さっと誰かに奪われた。

ハッ!と見上げた先に

浩輔が立っていた。


「もう〜、びっくりするじゃないの!」


「はははっ、ごめんごめん。なんとなく姉貴がここを通る気がして、来てみたんだ」

「え、ありがとう…」

「しっかしよく細い体で、こんな重い荷物持って歩いてられたよな」

何…

何なの?


浩輔がそばにいるだけで、胸がどきどきするんだけど。


「今日のご飯はなに?」

「ビ、ビーフシチュー」


「お、やった!」

と言って足早に前を歩いていく。


ゆうべ涙が止まらなくなった私の唇に…
浩輔は優しいキスをした。

あのとき確信したの。

好き。

私は浩輔が好き。

愛しているのだと……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ