悪魔的ドクター
第10章 恐怖
――……速水side *。+†*
「速水先生、コーヒー飲み過ぎです。何杯目だと思ってます?」
「…わからん」
呆れ顔の看護師に
厳しく注意される。
今日の俺は…変だ。
なぜか朝からソワソワしっぱなしで、コーヒーが止まらない。
俺自身も理由はわからんが
胸騒ぎがする。
「集中出来ん…」
「少し休憩したらどうです?仮眠室使います?」
「いや…いい」
こんなんで仕事を放棄する訳にはいかない。
『しっかりしろ』と言い聞かせ
積み重なる1番上のカルテを
1冊手に取る。
するとその拍子に
下にあった他のカルテの数冊は
バランスを崩してドサドサと床に落ちた。
「最悪だ…」
疲れてるのか?
医者のくせに
しっかりしろよな
自分に苛立ちながら
床に散らばるカルテを
1冊1冊机に戻す。
ふと手に取った咲桜ちゃんのカルテ。
まさか…な。
この胸騒ぎが彼女と関係してるなんて…思いたくない。
そんな縁起でもない事を考えるなんて、俺は医者失格だ…。
バカな考えを捨てろ。