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闇と光

第1章 闇に

漆黒の闇にたたずむ、若く美しい女性。
彼女の腕の中には乳飲み子。
まだ、十代のシングルマザー。
乳飲み子を抱き、闇を歩く。
赤い点滅に向かって、闇を突き進む。
乳飲み子の温もりを感じて、柔らかな頬を撫でる。
カンカンカンと鳴る赤い点滅。
彼女は降りてくる遮断機をくぐり抜け、線路の真ん中に立つ。
彼女は、乳飲み子の寝顔を見て、微笑む。
彼女は、頬を涙で濡らしながら、乳飲み子をギュッと抱きしめる。
ごめんね、と呟いた。
やがて列車のライトが見え、近づいて来る。
ガタタン、ガタタン、と近づいて来る。

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