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エスキス アムール

第10章 ニガイキオク




彼女のことをお教えするといったが、
俺もよく、
彼女のことは知らない。


わかっているのは
彼女は、
俺の淡い二つの恋を
強制終了させ、

ジャイ○ンのような名言を残して行った
パンチのある女性だ
ということだ。


その名言は
6年近く経った今でもなお、
サークルの中で語り継がれている。




あれは、
就職活動を終えて
一段落した大学4年の春だった。


俺は幽霊部員のような
位置付けだったが、
就職活動が終わり
暇になると、

友達の誘いもあって
サークルに顔を出すようになった。


顔を出す頃には、
皆進路は決まっていて
飲み会が頻繁に執り行われていたように思う。


「となり、座ってもいい?」


そう声をかけて、
座ってきたのは
"みきちゃん"という

女の子だった。


その子とは、
学部も一緒だったらしく
何かと話もあって

少しした頃、
俺はみきちゃんのことが
気になり出していた。

みきちゃんも、
俺に好意を寄せてくれているようだった。

何と無しに
お互いの気持ちに
うっすら気がついている、

一番楽しい時期。


そんな、
ほんわかした幸せな日々の中に
ひとつ影を落とす。





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