エスキス アムール
第2章 オオノさん
「…ちゃん、はるかちゃん」
優しい声が聞こえる。
何だか心地好いな。
「はるかちゃん」
声がする方に
顔を向け、
意識を引き戻した。
「…あ…っ」
「おはよ」
目の前には
大野さん。
びっくりして、
飛び起きた。
「ご、ごめんなさいっ
私…寝てました…?」
「すごく
気持ち良さそうに寝てたよ。
起こすの
躊躇っちゃった」
そう言って
大野さんは
ふにゃっと笑った。
あぁ、
私はこの笑顔が好き…
じゃなくてっ!!
「本当に
ごめんなさい…
時間、
大丈夫ですか…?」
時計をみると、
19時30分。
予約の時間より
30分過ぎていた。
「大丈夫だよ。
俺ね、
ちょっと遅れちゃってさ。
今来たところなんだ。」