エスキス アムール
第10章 ニガイキオク
「ピーーー!」
何か、ホイッスルの音が響いた。
そして、足音が聞こえる。
それを聞いたゲイサーの奴らは、
走って何処かへ消えた。
俺を助けてくれたのかは
わからないが、
そのホイッスルと
足音のおかげで
レイプは未遂に終わった。
それに懲りて、
授業が無い日は
学校に行くこともなくなり、
一人暮らしをしていたアパートも引き払って、
引越しをした。
しかし6年の時を経ているのだ。
彼女だって、
恋人の一人や二人いると思うし、
さすがに俺のことを
もう好きではないはず。
本来であれば
安心していいのだろうが、
先ほど、確かに彼女は
ウィンクをして
エアキスまでかましてきた。
それが何を意味するのか。
これから起こることなんて、
きっと想像しようも
ないことなんだけど、
一つだけわかるのは、
それが俺にとって良いことではないと言うことだ。