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エスキス アムール

第11章 デート






「おい、顔死んでんぞ。」


「……」


あれから、
俺の気が晴れることはなかった。

過去のレイプは
未遂に終わったとは言え、

ものすごく恐ろしい出来事で、
完全なトラウマなのだ。


それなのに、
この間の接待で、
そのトラウマの発端となった
三嶋良子と、

変態ホモ社長に
会ってしまったことで、

あの時の出来事が、
夢に出てくるように
なってしまったのだ。

とても眠れたもんじゃない。



この12月に向かって
忙しさが増してきている中で、
寝不足だなんて、やってられない。


「この間の接待、
どうだったんだよ。」


「……木更津が…」


「なんだよ。」


「……ホモだった…」


「ブハッ…マジかよ。」
要は飲んでいたお茶を吹き出した。
雫が俺にかかるけど、
それを拭う元気もない。


「…俺、狙われてるみたい…」
そんな俺の顔をおしぼりで拭いながら笑う。


「波留にも
わかるほどって相当じゃね?
三島良子は?」


「…ウィンクに、…エアキス…
……うえっ」

「おい、波留…。波留!!!」


寝不足が続いて
気分が悪かった上に、
この間のことを思い出したら
一気に吐き気がこみ上げてきて、

意識を手放した。








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