エスキス アムール
第11章 デート
「…わ…」
スマホがブルブルと震えた。
画面には
「大野波留」の名前。
どきどきどきどき
深呼吸をして、
画面をタップする。
「…もしもし?」
「あ、もしもし?
はるかちゃん?」
電話で彼の声を聞くのは
初めてだった。
少し電話によって変わった
彼の声は、よりかっこよく、
とても優しい。
思わず、顔が綻んだ。
「どこら辺にいる…?」
「えと…、大きい銅像の前に…」
「あ、いた!」
私たちは、駅前の公園で待ち合わせをした。
とても広い公園で、
だんだん冬に向かって
木からは葉っぱがなくなり始めていた。
その分、空が広く見える。
その青はとても澄んでいて、
どこまでも、突き抜けていた。