エスキス アムール
第13章 トラップトラップ
「やだ。
やっぱり、
こんなことを
仕事にしている人って
そんな態度をするのね。」
悔しい。
完全に見下されている。
だけど、
方や有名な会社の社長秘書。
方や毎晩男に身体を売る、風俗嬢。
職業の事を言われたら
言い返す言葉なんて
なかった。
「…今日は
何をしにいらしたのですか?」
「そうね。そろそろ本題に。」
少しの沈黙が長く感じた。
私が彼女の言葉を待っている間も、
彼女は笑っている。
だけど、その笑みはすぐに消え、
「ねえ。
あなた、波留のことが好きなの?」
私を見て、
とても低い声で、そういった。
「……」
思わず、目を逸らす。
そんな私を見て、彼女は
鼻で笑うと
「……だったら、
もう彼には会わないで欲しいの」
冷たい声を
私にぶつけた。