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エスキス アムール

第13章 トラップトラップ





「…っそんなことしたら…っ
大野さんが…っ」


「だから、言ってるでしょ?
あなたが、
波留に会わなきゃいいのよ。」


ただそれだけ。
そうしたら、波留が傷付くこともない。

そう言って、彼女は
不敵な笑みを浮かべた。



「…なんで…こんなこと…」


「なんで?笑わせないでよ
波留は私のもの。
手を出すほうがいけないんでしょ?」


「大野さんは、モノじゃない!」


「うるさい!
私はずっとずっと、
波留のことを見てきた。


誰よりも、波留のことが好き。
私には、10年分の彼との思い出がある。
…あなたは、あるの?
この店以外での、思い出なんて」


「それは…!」



私は、唇を噛み締めた。
大野さんと出かけたのは
この前が初めてだ。

ずっと、お店でしかあったことがなかった。

「この店でしか、
ほとんどあったことないのでしょう?

それが、波留の答えなんじゃない?」















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