エスキス アムール
第13章 トラップトラップ
「おい、はるかっ!!」
シュウが、
部屋に入ってきたのは、
割と直ぐであったと思う。
私は、
スマホを握り締めたまま
床に倒れ込んでいた。
すごい熱と、
定まらない視点、
乱れた呼吸にシュウは驚き、
すぐに処置室に運んでくれた。
目を開けると、
横にはシュウがいて
「具合、どう?」
一言、そう聞いた。
「ちょっと…だるい、かな」
「疲れてるんだよ」
「…うん…。」
ゆっくり休め。
そういって、
処置室から出ていこうとするシュウを
引き止める。
「シュウ…」
「…ん?どうした?」
「わたし…」
私の様子に、
シュウはまた椅子に座り、
言葉が出てくるのを待ってくれた。
「…わたし…
もう、大野さんとは、会わない。」