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エスキス アムール

第14章 冷たい身体

【大野side】



日にちを空けて、来た。


もう、これで拒まれたら
仕方ない。


それほど嫌だと言うことだ。

とりあえず、理由を聞いて、
話はもうそれからだ。

聞かないことには、
何も始まらない。


要の恐ろしい説教を
思い浮かべながら、

ジゴレットに入った。



「いらっしゃいませ」


受付のウェイターは
いつもの赤髪風邪野郎じゃない。



「誰をご指名ですか?」

「…アカリちゃんを」

「アカリは今日は休みでして…」




………………。



うん。
一応、聞いてみようね?



「…風邪ですか」

「まぁ、風邪みたいなものです。」

「風邪みたいなものって!
本当は居るんだろ?

いいよ、別に。
避けてるって言ってくれればさ!」


そう言ってまくし立てると、

「いえ、今回は、
本当に寝込んでるんです」

そう言った。



「だめだろ…。
「今回は本当に」とか言っちゃあ。」

傷付くじゃんかよ…。



「で?大丈夫なのかな。彼女は」


「さぁ……。
そう言われましても…」


「もういいです。帰ります。」

もういいです。
本当に。

出口に足を進めようとしたとき、
ウェイターが声をあげた。


「もしかして、
大野様ではありませんか?」


「…そうですけど」


「あ、よかった!
失礼しました。
あの、これ、預かってます。」


「アカリちゃんから?」


「いえ、違います」

そういって渡された紙切れ。
中を開くと、住所が書かれていた。









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