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エスキス アムール

第14章 冷たい身体





もう、忘れるんだ。

忘れよう。




忘れるんだ。

急いで着替えると、走った。

走って、お店にむかう。




受付には、

シュウがいて、
ちょうど、接客していた。





「アカリは今日も休みです」



「またかよ!!」

そんな声が聞こえる。



「いいえ。

お客様、お待たせいたしました。

私がお相手致します。」



「おぉ!アカリちゃん!

やっと会えたね!」




そういって、笑顔になるお客。

シュウは驚いた顔をして、
私を見た。



「さぁ、いきましょう?」

お客の腕をとって、促す。



シュウの目は、
眉間にシワを寄せて私を見ていた。

長い付き合いだ。

様子が
おかしいことくらい、

わかるのだろう。



シュウは、
三嶋さんがきたことも、

全部知っている。



何か言われるのが嫌で、
目をそらし、部屋に向かった。



私はまた、
こうして、

意味の無い行為を繰り返すんだ。


だけどいい。

12月になれば、
こんな生活も終わる。


仕事もやめて、
場所も変えて、

自分の好きなことができる。


そしたら、きっと、

彼のことも忘れられるはずだ。




「ひどくしていいよ。」


わたしは、
彼のことを頭に思い浮かべながら、お客の相手をした。










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