エスキス アムール
第15章 カノジョノセカイ
だけど、
一日経っても、彼女は来ない。
メールを送っても返事が無い。
いつものように、
彼女指名の客を断ろうとすると、
彼女は、
妖艶に微笑んで
お客の後ろに立っていた。
その様子は、
明らかにおかしかった。
うまくいかなかった。
その理由は察することができた。
きっと、あの女だ。
畜生ふざけやがって。
本当に苛立った。
それからというもの、
これまでに無いくらい、
彼女は働いた。
休む暇がないほど、客を取った。
そして、
絶対ひどくされるからと、
仮病を使って拒否をしていた
彼が働いている先の
社長までとったのだ。
もう、見ていられなかった。
彼女は自分で自分を
傷つけていったのだ。
まるで、彼を忘れるかのように。
一ヶ月が経ったころだろうか。
彼女に無理矢理、
休みを取らせた。
そのときに、
スケッチブックを
また覗いて見た。
新しいものは
何も描かれていなかった。
なんだ。
そう思って
空白のページをパラパラめくる。
「…あ…?」
一番最後のページに
何かあった気がして、
裏表紙をめくった。
そこに描かれていたのは、
涙を流し、
切なげな瞳をしてこちらを見る
彼の顔だった。
シュウside 終-