エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
12月30日。
今日を持って、
ジゴレット卒業だ。
長かった。
本当に長かった。
正直いって、今日の午前中で
目標金額は達成できた。
だから、もうお客をとる必要が
なかった。
もう、暇だな。
そう油断してゴロゴロしていた時だった。
ピピピピピピピピ
無機質な音が部屋に響く。
…なんで?
それは、お客が指名したことを知らせる
音だった。
なんで?
もう取らなくていいって
わかってるはずなのに。
シュウなにやってるんだろう。
そう思って、気がつく。
そうだ。
今日のウェイター、
シュウじゃない。
シュウじゃないときのウェイターは
全く気が利かず、
自分がチップを貰えれば
NGをだしていても通してしまう
言わば、最悪最低な
ウェイターだった。