エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
このウェイターで
良い人に当たったことがない。
時間的に、
これが最後だ。
最後の最後で最低な客なんて…。
どうか、良い人でありますように。
そう願ったけれど、
私のこと予想は、
悪い意味で当たってしまった。
「お待たせいたしました」
扉の向こうで、
ニコニコしながら待っていたのは、
「アカリちゃん、こんばんは。」
あの、
観月社長だったのだ。
「こ…こんばんは…。
観月様…。」
彼の顔が一瞬浮かんだ
助けて。
そう叫びたいけど、
何もされていないし
拒否もできない。
仕事だ。仕事だ。
自分に言い聞かせて
一生懸命微笑んだ。