エスキス アムール
第24章 逃亡日記
それから、
何週間か経った頃、
同じように
俺は警察に呼ばれていて。
何度も何度も
同じことを聞かれて
同じこと説明する。
直感で、
疑いは俺ではなく
もう社長に向けられているなと感じた。
それでもニュースでは、
連日、俺が不正をしたと
伝えられている。
きっと、
観月製薬はこれでお終いだ。
冷静にも
そんなことを考えていた。
あの社長で
回っていくわけがないし、
なにより、
未だに顧客情報漏洩の
対応がしきれていない。
それに、
次に逮捕されるのは社長だ。
社長がいなくなって
社長代理を任されるのは、
息子だろう。
いきなりは無理だ。
どんどん赤字になるぞ。
これは。
今ニュースでは、
俺が情報漏洩の当事者だと
叩かれているのに、
そんなことばかり、
ボーっとしながら考えた。