エスキス アムール
第25章 彼との情事
そっと、舌を差し込むと
木更津は驚いたのか
自分の舌を引っ込めた。
そして、
さっきの自分のように
少しばかりの抵抗をする。
だけど、
さっきの彼のように
その手を絡めとれば、
知らないよとでも言うかのように、
少しだけ、
舌を絡ませる。
そうして、
俺が抵抗をしないのを感じると
俺の手を壁に押し付け、
口内をねっとりと舐め上げた。
「…ん、んんっ」
息継ぎをする暇さえ無い。
頭がだんだん
クラクラしてきて、
流石に唇を離そうとするけど、
彼は執拗に舌を追いかけ回した。
「も…、んんっ…ゃ」
身を捩るように抵抗をすると、
ようやく離れる唇。
呼吸が乱れたまま彼をみると
彼は切なそうな顔をして俺を見つめた。
……おれ、
どうしちゃったんだ。
俺はそんな趣味、無いのに。
離れた唇が寂しく感じた。
「…木更津」
「…なに」
「……もう一回」
もうどうにでもなればいいと思った。
もうよくわからないけど、
目の前にある欲求を
ただただ満たしたかった。