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エスキス アムール

第25章 彼との情事






「んっ…ん」


俺の声だけが
その部屋には響いていて、


響く度に、
この部屋には二人しかいないんだ
と言うことを実感する。



「あっ…だ…」


木更津の唇は、
俺の唇から離れると、
滑るように耳を這った。

身体が反応して身を捩る。



「波留くん、耳弱いね」


その声にも、身体が反応しそうだった。



「波留くん。勃ってる」



その言葉に
ようやく、自分自身が
熱を持っていることに気がつく。



なんで。
キスと耳だけなのに。


「…嬉しい。
…して、いい?」



恥ずかしさで、顔を背けると
木更津の冷たい指先が顔に触れて、
彼の方を向かせた。


そしてその指は、
そのままうなじに
ゆっくり、ゆっくりと、

触れる。



「あ…あぁ……は…」

「その顔、そそる。」


まるで、
女になったみたいだった。

木更津はまるで
俺を女のように扱う。


こんなことは初めてで
どうしたらいいのかわからない。



ギュッと目をつむって、首を振る。
うなじに触れている
その指を両手でつかんだ。








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