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エスキス アムール

第26章 彼の邸宅



「ここが、トイレ

で、ここが風呂ね?
それで、ここがキッチンで、
ここがリビング。

冷蔵庫には飲み物が入ってるし、
すきなように使って?」

「…ありがとう。」



木更津邸は、マンションで
俺と同じ、
生活感のない部屋だった。


リビングには
ソファとテレビと机のみ。

何と無く気が合うのも
わかる気がする。


「木更津、説明はいいから
仕事にいって来いよ。」

「今日はないよ。」

「嘘つけ。
忙しいお前が、平日に休みなわけないだろ。」

「…」

「俺に気を遣わなくていいから。

どこにもいかないし。
夜ご飯でも作って待ってるよ」

「本当にどこにもいかない?」


逃げると思って、
仕事サボろうとしてたのかよ。

社長。

秘書が怒るぞ。



「いかない。ってか、いけない。」

そう笑うと、
それもそーだ、と、
木更津も笑った。


「じゃあ行ってくるね」


「おう。」








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