エスキス アムール
第26章 彼の邸宅
かわいー、
「てか、部屋きれいじゃない?!」
ホコリが、ない。
なんか知らないけど、
電気が明るく感じる。
しかもみたこともない
掃除機がある。
僕の家、こんなのなかったはずなんだけど。
何がどうなってるんだ?
キッチンにいくと
キッチンもピカピカだった。
帰ってくるギリギリまで
掃除をしていたのだろう。
波留くんの鼻には
汚れがついていた。
なんか…ベタで可愛い。
「ん…、あ、おかえり」
そういって、
ふにゃっと笑う彼。
覚醒しているときは
絶対にこんな表情を
見せてくれない。
僕が男でホモだからだ。
きっと、
彼女は毎日こんなのを
見てたんだろうな。
そう思うと、
イライラムラムラした。
ダメだ抑えろ。
いろいろと。
「波留くん掃除してくれたの?」
「うん、汚すぎるんだもん」
目をこすりながら
辺りをを見渡して、
満足そうに笑った。
「この掃除機は?」
「買ってきた」
「…外にでたの?」
その問いに
平然と
うん、
と言う彼に、
出たくなくなるまで
落ちてるわけじゃないんだと、
少しだけ安心した。