エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「…離れろ。木更津」
「なんで?」
「なんでも。
はやく、離れろよ!」
「なにもしてないのに…」
しぶしぶ、
回していたてをほどいて、
俺から離れる。
密着していたところに
冷たい風が入って、寂しさを覚え
思わず、
手をつかんだ。
「波留くん?」
「…っ」
なんだよ。
どうしたんだ?
おかしい。
こんなのおかしい。
男だぞ。相手は。
この28年、
男なんて
そんな対象じゃ
なかったじゃんか。
疲れてるから?
木更津が優しいから?
また、慌てて手を離す。
「…っ、なんでもない。
朝飯食べるぞ」
おかしい。
そんなはずはない。
火照った身体を冷やすように、
冷たい床へと足をおろす。
それでも、火照りは消えることなく
顔には熱が残っていた。
どうかしてる。
きっと今の俺はどうかしてるのだ。
俺が男に、
なんて。
絶対に、ない!!