エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
呼吸するたびに
少しだけ動く唇に誘われて
手を伸ばす。
「…ん」
そっと唇に触れれば
木更津は少しだけ声を漏らした。
ゆっくりとなぞる。
そうすると、
彼は口にギュッと力をいれて
顔を動かす。
「んん、」
その声に
我に返って指を離した。
そして、ゆっくり開く瞼。
「波留くん…
…おはよう」
「…っおはよう。」
俺どうしちゃったんだ。
自分がしていたことに、
今更ながら恥ずかしくなって
まともに
木更津のことが見れなかった。
「波留くん…ドキドキしてる」
木更津は抱きついたまま
胸に耳を当てると、笑った。
どうしたの?
なんて、言いながら。
「や、めろよ!
て言うかソファで寝るんじゃなかったのかよ!」
動揺してるのがバレる。
バレる。
ばれた。
「僕はベッドじゃなきゃ
眠れないんだよ」
「もういい。
今日から俺がソファで寝るから」
「いいじゃん
僕何もしなかったでしょ?」
何かをしようとしていたのは
俺の方だ。
この件に関しては
何もいえない。
あー、やばい。
やばい。
なんか、やばいよ。
急に意識しちゃったじゃん。