エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「そろそろ、寝ようか」
そういうと、
「ん、」
そろそろと
目をしばしばさせながら
ベッドに向かった。
早く寝ていたはずなのに、
何であんなに眠そうなんだ…?
彼はベッドに潜ると、目を瞑った。
彼を抱きしめて寝るのが
癖になっていたせいで、
ニューヨークでは本当に寝付けなかった。
無意識に、隣に手を伸ばしてしまう。
今日は彼の寝息が隣で聞こえる。
それだけで、安心して眠れそうだ。
いきなりじゃ怒るかな?
と、思ったけど、
そっと、少しだけ彼に手を伸ばすと
彼はすぐに目を瞑ったまま
僕の腕の中に潜り込んできて、
自分から手を回して動かなくなった。
…もしかして、波留くんも
眠れてなかったのかな…。
そうだといいな。
少し、自惚れたくなる。
彼の甘い香りが僕を眠りに誘った。
彼の頭にキスを落とすと、
彼がほのかに笑った気がした。
この男が僕のモノになればいいのに。
最初こそ、好みのタイプだった。
それだけだったのに
僕はどんどん彼のことを好きになる。
彼がこの家を出て行くとき、
僕はそれに耐えられるだろうか。
心の中で警鐘がなっているのは
彼がここに来たときからわかっていた。
気がつかない振りをして、
彼に甘えた。
だけど、別れなどすぐに来る。
このままでは彼から離れられなくなる。
このままじゃいけない。
これを最後にしよう。
彼の甘い香りをいっぱいに吸い込んで、
強く、強く、彼を抱きしめた。