エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「今日は…なにしてたの?」
急いで話をそらしてみたものの。
それでも、ドキドキは治らなかった。
「今日はね、秘密。」
一言そういって、
僕のことをまた、優しい瞳で見る
多分本人は無意識だろう。
ニューヨークに行っていた
一週間の間に、何があったのだろうか。
電話をしたって、すぐに切られたし。
せいせいしてるみたいなことも
言われたし。
…ここは僕の家なのに。
それにしても、困ったな。
こんなに見つめられてたら
集中して食べられない。
ちらり、
そーっと、彼の方をみる。
「…っ、」
やっぱり、見ている。
「なに…?」
そう聞けば、
「なにも?」
そう言って自分のオムライスを
食べ始めた。
急すぎてよくわからないけど
僕に気を許してきている証かもしれない。
下手に指摘して
また警戒されても嫌だから黙っておこう。
最後の一口に差し掛かると、
彼は大きな欠伸をした。
その目はトロンとしている。
目をこすりながら
一生懸命オムライスを食べる彼は
世界で一番可愛いと思った。